課題図書 2009年10月 人生論ノート2

人生論ノート (新潮文庫)

人生論ノート (新潮文庫)

 幸福は人格である。ひとが外套を脱ぎすてるようにいつでも気楽にほかの幸福は脱ぎすてることのできる者が最も幸福な人である。しかし真の幸福は、彼はこれを捨て去らないし、捨て去ることもできない。彼の幸福は彼の生命と同じように彼自身と一つのものである。この幸福をもつて彼はあらゆる困難と闘うのである。幸福を武器として闘う者のみが斃れてもなお幸福である。

 機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現はれる。歌はぬ詩人といふものは真の詩人でない如く、単に内面的であるというような幸福は真の幸福ではないであろう。幸福は表現的なものである。鳥の歌うが如くおのづから外に現はれて他の人を幸福にするものが真の幸福である。

天界の喜びは真の幸福ではない。煩悩を達成したときが幸せではなく、達成するまでの間の幸せを実感出来て、本当の幸せを実感できる。そして、幸せは内面的ではなく、外に現れて他の人も幸せにさせる。

購入 課題図書 2010年1月 雷電本紀

イーブックオフ アマゾン店(ネットオフ株式会社)http://www.ebookoff.co.jp
 購入価格:462円 定価:730円

雷電本紀 (小学館文庫)

雷電本紀 (小学館文庫)

購入 課題図書 2010年2月 平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

ブックオフ 購入価格:100円 定価:2,310円

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学

本の入手

本の入手には手がかかる。斧さんの読書Gである以上お金を掛けてはいけない。(笑)
もっぱらブックオフ巡り。今まで読んだことのないジャンルであるためなかなか見つからない。というかブックオフで見つかるような本は、選ばないということか。おっと、「平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学」は100円で見つけた。本を探しているといろいろ気づく。自分の読書の傾向など。
 ところで斧さんはネットで古本屋を開設しているらしいが、まったく商売っ気がない。本は買わずに図書館で借りることを勧め、図書カードを作る指示が出た。相手が学会員とわかって自らの生業を使わないことを信条としている。組織利用しない点で徹底している。

課題図書 2009年10月 人生論ノート

人生論ノート (新潮文庫)

人生論ノート (新潮文庫)

 学生時代購入したが読まなかった。「人生論は先生の書籍だけでいいよ。」という浅はかな考えだった。反省。orz
 読んでいて、まぁ全然進まない。言葉の定義が入って来こないのだ。
 会社の寮で同室だったI君のことを思い出した。数学科卒の彼は、毎日、数学書を読んでいた。彼にとっては数学書を読むことは読書そのもの。何が面白いのか聞いたところ熱く語ってくれた。彼いわく、「次の式に移るときの展開がワクワクする」というのだ。ある定義を元に、論を展開していく、その流れが美しいとのこと。この本を読んでいて、彼の顔を思い出した。
 三木氏に取っては、確立された言葉の定義を元に、論が展開されていくのが、私には、その言葉の定義がしっくりこない。言葉の定義をはっきりしないとまったく理解が進まないという点、非常に意味のある本。ひとつひとつの言葉を、数式のように理解しないと進まない感じ。さらに、理解するには、一度、すべての定義を受け入れる必要がある。本当に受け入れて良いのかという疑問が頭をもたげ、進むのに時間がかかる。読むことは出来ても、理解することは相当の時間が必要だ。現在、まだ読了していない。(12月19日現在)

課題図書 2009年9月 レイチェル・ウォレスを捜せ

 いわゆるハードボイルドもの。やはり初めての読む作者のものはなれるまで、時間がかかる。欧米のバックボーンがわからないため、面白味がわかっていないのがつらい。
 今となっては年代物のハードボイルドか。ミッションインポッシブルを見た後に、007を見る感じ。ものすごいCG技術が進んでいるときに、あえて実写にこだわる必要があるのか。
 いや違う。現代の思想的状況や情報社会の中で、あえて取り残された環境で進むストーリーに、現実味が感じられない。ネットや携帯電話なしで、人を探すことって実感出来ないない。そう考えると世の中進んだんだよな。
 いやいやこれも違う。斧さんの意図はそんなところにない。「男はつらいよ」の寅さんを見て、「あんなテキ屋はいないよ」などという味気ない、その道の方の発言になっている。
 スペンサーの味わい深い発言を楽しむのがこの本の正当な読み方だと思う。でも、どうしてもこの訳の言い回しに最後まで慣れなかった。
 あとがきを読むと、完全無欠のスペンサーの弱さが出た初めての作品らしい。弱さと強さ、弱さの中にある強さ。強さの中にある弱さ。相対する立場のコミュニケーションを味わうことが、いくつもあるスペンサー作品の中で、この作品の特徴になっている。